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sproutおぼえがき

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春の野川へ

4月5日
晴れ 気温高

実家連が子どもたちを連れて小金井に来るというので、途中でお昼を買って野川まで散歩することになった。

この時期は両岸に枝垂れ桜がいっぱいに咲いて、そのあいだを小さな野川がきらきらと流れる。
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夢みたいにきれいな景色なのだが、かの有名な小金井公園のかげにかくれてか、地元民以外にさっぱり存在を知られていない。
さあ!花見を堪能するぞ!という気迫のまったくない、ちょっくらぶらぶら歩いてきましたよ、という程ののーんびりした人々しかいないいつもの野川であった…。

くじらやまの、早々に新緑の若芽を吹きはじめた大きな木の下でお弁当を食べる。
足下には一面のクローバーにオオイヌノフグリ、ペンペン草。
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姪っ子はペンペン草とオオイヌノフグリで小さなブーケをこしらえた。
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甥っ子は、根がひだのようにひろがる大きな木の根もとにちょうどいい窪みがあると座り込み、「ただいま充電中」、「我々は、精霊となります」などといって私を驚かせた。

小金井の南側は、はけの急な坂道を下ったあたり、大きな神社や、昔からの農家、湧水など、実に長閑な風景が広がっている。
はけ、というのは、武蔵野台地が川の手前で一気に下がる、いわゆる崖のようなラインのことで、国分寺あたりでは崖線(がいせん)ともよばれる。国立から世田谷あたりにまで続く台地の岬。
豊富な湧水の出る肥沃なハケ周辺には古代から人が住みつき、戦前はハケに沿って農家や別荘などが並んだそうだ。
今でもそのなごりのような家々を、木々の間にのぞくことができる。
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↑このこんもりと森のように高くなっているところがハケ

私の住んでいる家は中央線の北側、台地のまっただなかにある。
こちらも大きな畑や地主の屋敷などがまだまだ残る地域だけれど、その雰囲気は線路の北と南でずいぶん違う。
北側は広い台地を大いに使った抜けるようなおおらかさ、ちょっと意地の悪い言い方をすれば、こっからここまでぜーんぶわしの畑!といったようなところがちょっとあって、それが世代交代でいっぺんに住宅地になったりするのでしょっちゅう驚かされるのだが、南はそれこそ崖だの、坂だの、水だの、雑木だのほうが圧倒的に力があって太刀打ちできないので、どうしても人のほうが自然の顔色を見ながらうまいこと合わせていかざるをえない。ちょっとやらしてもらってますよ、と。
畑ひとつとっても、その土地と人々がかわした契約や力関係など、ずいぶん見えるもんだなあと思う。

北の悪口を書いたようだが、でも北だって、大きな古い農家の庭に、辺りのどんな建物よりずっと高く、ラピュタみたいに枝をのばしている欅の木がある。そういう伸び伸びとした木は、ひらけたところでないと育たない。

帰り際、トイレに行ってくると言って20分以上も帰らない母を、心配性の父が気を揉んで、そろそろ見にいこうかなんて言い出したころ、やっとぶらぶらもどってきたので聞くと、
「なんか向こうの橋のとこまで歩いてきたー。あっちのほうまでずーっと続いて、すごいね。」
などとけろっと言う。
結局最強のマイペースは母なのであった。
by titypusprout | 2013-04-05 18:45
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