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sproutおぼえがき

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かわいい江戸絵画

5月1日 水曜日
くもりときどき小雨、ときどき薄日  昨日より肌寒い



「かわいい江戸絵画」展      府中市美術館
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ぼやぼやしていたら会期があと数日にせまっていて、あわてて行ってきた。

近世に入って、絵の役割が「何かを伝える」や、「見たままをそのまま写しとる」というだけから、「絵そのものを楽しむ」に成熟し、そうなったら自然に身の内からわきあがって描きたくなってしまったのが「かわいい」ものだったという考え方がおもしろい。

会場では「かわいい」のなかにあるさまざまな要素を定義しながら展示がされていた。
もともとの語源でもある「かわいそう」から、「ちいさいもの」「かよわきもの」「ぽつねんとしているもの」そして「なんだかわからない妙なもの」まで。

老人や、妖怪や、そこらをうろうろしている浮浪者(聖人)をうっかりかわいいと思ってしまう、さらにいうと「いじわる」と「かわいい」、「気持ち悪い(こわい)」と「かわいい」、「最低」と「かわいい」、「ドへた」と「かわいい」が自分のなかでまったく矛盾なく同居できてしまう不思議…。
この「みょうちくりん」で「わけのわからぬ」ものを「かわいい」の一形態とする感性って、とても日本人にしっくりくるように思うのだが、外国でもそういう気持ちの発露ってあるのだろうか。

と思ってちょっと挙げてみたところ。

・ムーミン谷のなかま(原作のほう)
・スターウォーズ(初期)のクリーチャーたち
・「リトル・ミス・サンシャイン」のオリーブおよび途中で死亡するおじいちゃん
・ベネディクト・カンバーバッチ


しかし彼らを諸外国のみなさんが「かわいい」と認識して愛でているかははたして謎です。
そしてこれらの製作者は皆おおむねオタクだ。トーベはどうかわからんけど…。
ムーミン谷の故郷フィンランドなどは感性がすごーく日本と似てる、と行った人に聞いたことがある。

でも、キリスト教世界で神様や聖職者を「かわいー」なんて態度で描いた人見たことありません。
たぶんそういうシャレ通じないです。
布袋様とか、寒山拾得なんて…1000%浮浪者だし…。

あっでもバリ島の神様バロンはそうかもしれない。森に住んでる、すごく大きい犬みたいな神様。
それとタイのひとたちのオカマ好きもなんか共通点があるような気がする…。
アジアか…いや、アニミズムがカギか…。
そう考えると、絵本の世界にけっこういるのもなんだか腑に落ちる。「かいじゅうたちのいるところ」、ビネッテ・シュレーダーの描く世界、ショーン・タン、暗闇の世界のおともだち。


展示作品も楽しかったけど、そんな風にいろいろ考えがはばたいて、面白い展覧会でした。
あと、「微妙」が賞賛になりうる国って悪くないぜ…となぜか思いました。



ここからはそのおぼえがき。


俵屋宗達 「狗子図」
 な、なんか…ひどい…。宗達もこれが立派な掛け軸にされて展覧会に出されていると知ったら腰をぬかすであろう。

耳鳥斎 「花児博奕図」
 この人の描く顔…どこかで見たことがある…!!いい顔!耳鳥斎は気になる人だ。もっとたくさん見たい。この展覧会で一番の収穫。

中村芳中 「托鉢図」
 お坊さん多すぎ。みんなにぱっと口開けて楽しそうだ。

大津絵 「外法の梯子剃り」
 大津絵って、これらを江戸から現代までよく後生大事にとっておいたものだなあと…。法外(外法)に頭の長い福禄寿の頭の毛を、大黒天が梯子をつかって剃ってあげているというもの。福禄寿の頭って、やっぱりほっとくと毛が生えてくるのか…神様でも…。
大津絵のぱかぱかした色が好き。

丸山応挙 「虎図」
 丸山応挙の虎は、以前芸大の美術館でやった金比羅さんの展覧会でも見たが、やっぱりメルヘン虎だった。説明によると、応挙は虎の毛皮を手に入れ丹念に研究していたらしいが、描いてみるとやっぱりかわいくなってしまったらしい。やはり猫を参考にしてしまったのだろうか…。虎に限らず、応挙の動物(犬など)は、前足の関節がないところが「かわいい」のポイントか?

菊田伊洲 「虎図」
 薄墨で虎がひしめきあっている様子を描いたもの。虎の顔が何かに似ていると思ったらまんまピンクパンサーだった。お気に入りの一枚。

横井金谷 「風虎図」
 虎もいいが文字がすばらしい。

長沢盧雪 「狗児扇面」
 狗は犬のこと。…のはずなのだが、らっこにしかみえない。

司馬江漢 「猫と蝶図」
 三毛猫の目がすばらしい。佐野洋子の目!

与謝蕪村 「狗子図」
 子犬たちの目が狂ってる。

伊藤若冲 「親子鶏図」
 やっぱりうまいなー。下のほうでうじゃうじゃしてるひよこの視線がおもしろい。

仙厓義梵 「猫に紙袋図」
 …もうなにもいうまいこの人には…。猫の頭に紙袋がかぶさっているらしいんだが……わからねえ!!


ある人が「かわいいっていうのは突っ込むところがいっぱいあるってこともだな…」って言っていたけど、本当にそのとおりだった。
つっこみポイントが分かち合える人と一緒に行って、いろいろ言い合うのが一番楽しい見方かもしれない。


会期中何度も展示入れ替えがあったようで、前期のほうがよかったって言ってる人も目にした。
近所なんだから、何度だって行けたのに、惜しいことをしたー。
(6日までです。)

仙厓のコレクションは出光が持っているらしいので、ぜひ見てみたいです。






 
by titypusprout | 2013-05-01 22:37 | Comments(0)
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