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sproutおぼえがき

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シロアリチェック

6月25日 水曜日


シロアリチェチェックの人が家に来る。

この家に引っ越してくるときに予防をしてもらって、早、5年。
5年!

おじさんとおにいさんの2人組がやってきて、てきぱきと床下収納まわりの養生をしてもぐっていく。
そのあいだ所在がなくて、少し離れたところに座って浅生ハルミン著『三時のわたし』を読んでいた。

6月25日の日記は、「なまくら猫が飼い主にもたらす僥倖について」。
ねこが、足のあいだをさわーっとなでていく絵が書かれている。
暑い日に裸の足にねこがこれをすると、ふくらはぎにねこの毛がいっぱい付くんだったな、という感触を思い出す。

こんな状況で読むのにこれほどふさわしい本もないなあ、と思って、8月8日まで読んだところでチェックが済んだようだったので本を閉じた。
8月8日の日記では、2階の窓の隙間から白い猫が屋根に出てきてねそべっている。



もぐっていたほうのおにいさんが、床下で撮ってきた写真をテレビにつないで見せてくれた。
家の下の秘密が画面いっぱいに暴きだされて、ふだん見ることのない家の裏側は面白いけれどなんだか恥ずかしい。
激写!生撮り!!とって出し!!的な……(なんのこっちゃ)



おにいさんはちょっとこのひと大丈夫かな…とカクッとなるほど慎重に言葉を選んで話す。
基礎のワレや、湿気の多い箇所、以前の工事の際に放置された木片などもひとつひとつ丁寧に教えてくれる。

どんどん写真を見ていく。
すると、床下の地面からたくさん芽か蔓のようなものが生えている写真が何枚も映し出された。
おにいさんはしばらくそれをじっと見つめて、
「新しい生命が誕生していました。」
と厳かに告げた。

またある一枚には、通風口の前に白いロープのようなぐるぐるとたぐまったものがうつっている。
その正体についておにいさんは、「これは、ヘビの抜け殻です。」とまるで理科の先生か自然観察員さんが「こちらのスライドをご覧ください」とでも言っているような冷静さで教えてくれた。

最後になってまた、陽がささないのでひょろひょろとやけに徒長した例の植物の写真が映されると、
「これは、目の前にまた植物があったので、撮りました。」
と言い、「以上です。」と報告を締めくくった。趣味なのか。



いちばん大事なことでいうと、第一に、シロアリはいなかった。
しかしもんだいはカビなのだということだった。

見積もりを出してもらう。
カビ対策をプラスすると思っていた以上にかかるが、マストの部分とベターな部分をちゃんと教えてくれるのがいいと思った。
これは数年後でも間に合う、これは様子見でいい、など。

それに、おにいさんのようなタイプの人に対して、いらいらとじれたような態度をとる現場の先輩というのがよくいるけれど、おじさんはそういうところがまったくなく、むしろ口が立つほうの人だと思うのに、おにいさんにいささか長過ぎる沈黙(長考)が発生したときのみ補足として口をはさむというスタンスをずっと保っているのがすごく好感が持てた。

数日中に返事をします、と約束して、2人組は帰っていった。



話を『三時のわたし』に戻すと、もし無人島に本を持っていくなら、この本がいいと思う。
なぜなら、読んで面白いだけでなく、自分でも無性に日記を書きたくなるので(というわけでこうして20日ぶりに日記を書いているし)、この本を読む時間、日記を書く時間、書いた日記を読む時間、と時間が3倍にも増えるという夢のようなことになるはずだからだ。
そして、さまざまなものを見る自分の視点を、ちょっと変えてくれるだろう。


シロアリチェック_f0276902_052622.jpg

『三時のわたし』
浅生ハルミン/著
本の雑誌社
2011/8
ISBN: 9784860112202


それから、今日はオットの誕生日。
レアチーズケーキを買って食べた。
買いに行ったケーキ屋には、開店12周年記念と書いてあって、セールをしていた。
偶然にも同じ誕生日のケーキ屋でバースデーケーキを買うなんて愉快だ。
by titypusprout | 2014-06-26 00:06
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